2018年朗読劇「線量計が鳴る」上演報告

[第25回]仙南地区(宮城県)公演 2018年2月24日

いよいよ今年の幕開きだ。
プロデュースを担ったのは、仙南地区の小中学校の先生たちが中心。
会場は、大河原町の「えずこホール」。
「えずこ」とは、昔の農民が田畑で働く時、赤ちゃんを入れて
おいた大きな篭を意味する。
ホールの外形が、その篭に似せて作られ、シュールなデザインである。
町自体は、単調なインフラだが、この一画だけは、さまざまな
飛んだイベントが展開されるという。
周辺は保守的な風土なので、今回は観客動員が難しいと予想された。
当初は、150人くらいはと目標を立てたが、開けてびっくり、235人
の超満員。プロデューサーたちも嬉しい悲鳴。
全国版新聞も一社、地方テレビ局も一社、はるばる取材に駆けつけた。
「世の中はもう原発事故を忘れている」という宣伝は、どうやら嘘の
ようである。

[第26回]守山市(滋賀県)公演 2018年3月21日

主催は、〈これから行動隊〉という珍しい名前のグループ。
60才以上の高齢者が年齢など気にしないで、世のため、人のため、守山市のため、
積極的に行動しようという頼もしい集り。有機農業や環境問題にも取り組んでいる。
さまざまなイベントをやっているが、私の朗読劇もその一つに選ばれた。
行動隊隊長は医師の笠原吉孝さんで、檜山真理さんや菱倉佳代さんなど数十人が
組織を支えている。
さて、今回の朗読劇、定員400席は、2日前に売り切れ。補助席60席を出したが
それでも間に合わず、当日売りはナシという涙の決断となった。
それにしても、460人は動員の新記録。
朗読劇というのは、本来200~250が理想的だが、申し込みが殺到したので、
受け入れるしかなかった。当然、超満員の客席に熱い時間が流れた。
元大蔵大臣の武村正義さんや、関西地区のアーチストたちの顔も見えた。
それにしても、シルバーパワーは凄い。ひょっとして、ひどい世の中変えるのは、
若者じゃなくて、この勢力じゃないのかと思いたくなる。
有権者だって、この層が一番厚いのだから。
滋賀県にも、原発ゼロ政策を掲げた立憲民主党支部ができつつあるという。
がんばれ、「これから行動隊」!

[第27回]大牟田(福岡県)公演 2018年3月25日

3月25日の公演も、熱心な観客200人余りがかけつけ大きな反響。
主催は、平和や反核をかかげる市民運動のグループが中心。
週2回、公園の前でプラカードを揚げ、無言のスタンディングを繰り広げている。
公演のあった午前中、中村の希望で2つの場所を案内してもらった。
一つは、俳人「種田山頭火」の生涯のスポンサーであり、本人自身も雀の句で
有名な文人であった木村緑平氏の晩年の住居。
川めぐり観光船で知られる柳川市にあり、顕彰会の人々が温く出迎えてくれた。
その後は大牟田に戻り、三池炭鉱の旧跡を訪ね、この地のドラマチックな歴史
に触れた。中身の濃い旅であった。

[第28回・29回]武蔵野市(東京都)公演 2018年4月13日、14日

4月13日は夜、14日は午後公演が行われた。
両日とも、2、3日前に予約が殺到し、結局80名の方が入場できなかった。
氏名、住所を記録、次に都内でやる時に(未定)案内を差し上げることにした。
武蔵野市にある武蔵野芸能劇場は定員150名。
朗読には最適のキャパと造りだった。
知識人が多く住むエリアで、有名人の顔も複数あった。
13日夜には、菅直人衆院議員も顔を見せ、公演後30分くらい舞台で
中村とのトークがあった。事故当時の首相の生々しい証言があり、
劇場が湧いた。
(4月13日 毎日新聞 朝刊都内版参照)

[第30回]米沢市(山形県)公演 2018年4月28日

4月28日、大いなる反響と共に、置賜総合文化センターホールの幕が降りた。
主催は、さまざまな市民活動グループが集合した「さようなら原発・米沢」と
「米沢地区勤労者福祉協会」。
さすが上杉鷹山の本拠地だけあって、周辺の市町村には置賜自給圏構想などが
進行しており、地域の独立志向が強い。
住民も好奇心、向学心が熱いという印象。
それとは別だが、牛肉と山菜の美味も格別だった。

[第31回]久留米(福岡県)公演 2018年5月27日

久留米は人口30万の大都市。駅周辺の人通りも多い。
市内には石橋家(ブリジストン創業者)の寄進で作られた広大な公園があり、
いくつかの美術館、図書館、モネの絵を再現した蓮の池などがある。
朗読劇は、公園に隣接した文化センター「共同ホール」で開催。
主催は、新しい市民運動の団体「さよなら玄海原発の会・久留米」。
これまでのイベントでは、最大動員が50名程度。
今回の公演は200名以上の参加者があり、会員加入も増えて、
主催者たちは大喜び。
議員時代に「公共事業チェツク・議員の会」の会長として、
この地の郊外のごみ処分場建設反対運動の応援で訪問したことがある。
その時の活動家や、「みどりの会議」関係者なども楽屋を訪れ、旧交を温めた。

[第32・33回]那須町(栃木県)公演 2018年6月2日、3日

会場の豊穣庵(ほうじょうあん)は、森の中にある神社とも寺とも言える
古めかしい御堂。戦前に千葉から移築されたようだが、詳しい由緒は分からない。
現在は宗教的用途には使われず、農家の渡辺夫妻が管理している。
時々、ドリアン・助川氏(作家・音楽家)などが、ロックや朗読会場として
使っており、地域の文化拠点になっている。
渡辺夫妻は、以前は酪農中心だった。しかし、この周辺も福島原発事故で
放射能に汚染され、牛たちの全頭処分を余儀無くされた。数千坪の農地があるが、
その一部分で、安全米を収穫する努力を続けている。
周辺全体が観光地ということもあり、風評被害を恐れる自治体は、情報発信に
消極的だと言う。2日間の公演は、それぞれ60席が満杯で、原発に関する情報を
欲する人々や、渡辺夫妻を応援する人々の熱気に包まれた。

[第34回]横浜市(神奈川県)公演 2018年6月10日

「にぎわい座」は、桜木町駅から徒歩で3分、まさに繁華街のど真ん中にある。
小ホールで定員150名なので、1ヶ月前にチケットが完売。主催はアムネスティ・
インターナショナル日本・神奈川連絡会。
その後、50名余名の申し込みがあったが、お詫びするだけ。
公演当日、毎日新聞の「ストーりー欄」で、中村関連記事がまるまる1頁分出た
ので、当日も電話が鳴り続けた。横浜で再演の機会を作らないと申し訳ない。
参考記事 ●6月10日版 毎日新聞朝刊。

[第35回]防府市(山口県)公演 2018年6月17日

朗読劇実行委員会は10数名の市民有志の集りだが、市の文化振興財団や
FMラジオ局、地元新聞社などが後援。
その他、数多くの文化活動のクラブが、協賛に名を連ねて下さった。
おかげで、観客が200人を超えれば上々と見積もっていたのに、
300人近い人々が参加し、大盛況。
それにしても、昨年の柳井市、宇部市、今年に入っての防府市、今月末の
光市と山口県内の開催が多い。
防府市は、俳人・種田山頭火に関する取材で来たことがあり、その後、
2人芝居の「山頭火物語」(自作)を上演したなじみ深い場所である。
今回は、最近完成した「山頭火ふるさと館」を訪ねることができた。
防府天満宮の近くにある立派な建物で、ここが拠点となって
この天才の仕事の評価が、より高まってくれることを祈りたい。

[第36回]光市(山口県)公演 2018年6月30日

光市は、瀬戸内海・周防灘に沿って、虹ケ浜と室積海岸が横長に伸びる。
どちらも白砂と松原が続く風光明媚な環境である。
遠い場所へ行く時は、念のため前日入りする。その前日である29日は、
九州、西日本の天候が荒れていて、目的の岩国空港には着けないかも知れなかった。
ひょっとして、大阪伊丹空港か、福岡空港着陸もありと警告された。
30分ほど飛んでから、岩国は大丈夫そうだとアナウンスがあり、ひとまず
胸をなでおろす。
翌日午前中はどしゃぶりだったが、午後からは小降り。客足が遠のくのを
心配したが、目標の300は軽くこえて主催者は大喜び。
原発建設推進中の上関からは、30KM以内なので、市民の関心はかなり強い。

[第37回]名古屋市(愛知県)公演 2018年8月24日

台風19号と20号がもつれ、日本列島が大暴風雨に襲われていた。
新幹線が止る恐れがあり、用心のため前日に名古屋入り。
公演当日の夕方は、奇跡的に名古屋周辺だけ雨が止む。
入場券はすでに1ヶ月前に完売していたが、嵐のため、
遠方の客が多少外出をギブアップ。
代りに、当日売りの客に案内ができ、300席が満員。

[第38回]豊田市(愛知県)公演 2018年8月25日

午前中に豊田市へ電車で移動。
午後、主催者の方々に、町を案内していただく。
以前も選挙関係で来たことはあったが、あまり記憶に残っていなかった。
人口40万の大都市だが、家族を含めると80%が「トヨタ・ピープル」。
ここで生れ育つというのは、かなり特殊な環境だろうと、興味が深まる。
豊田産業文化センター・小ホール(240席)もほぼ満員。

[第39回]松本市(長野県)公演 2018年9月2日

松本市は、伝統的に文化水準が高く、芸術家や知識人が多く住み、
市民の知的好奇心も旺盛である。
丁度ここ数日間、毎年恒例の小澤征爾氏のオーケストラ演奏会があり、
「特急あづさ」も、市内のホテルも超満員。
でも、まつもと市民芸術館で行われた私の朗読劇にも、280席ほぼ
満杯の客が押し寄せてくれた。
市民劇団もたくさんあるとのことで、「線量計が鳴る」も、どんどん
上演して欲しいと要請した。

[第40回]札幌市(北海道)公演 2018年9月15日

豪雨台風直後の大地震、大停電と北海道はパニック状態に陥り、
数日前まで公演の実施が危ぶまれた。
飛行機が飛ぶことになったので、念のため前日入り。夕方の街は灯りが暗く、
交通量も人出も少なかった。客は来るのか?
担当大臣の発言は、毎日180度変った。本人が何も理解してないのが見え見えで、
福島原発事故の時の安全保安院のデタラメ応答を思い出した。
今回の大停電の本質は、北海道の電力の半分を担う苫東厚真火力発電所の
ポンコツ機械の修理を手抜きしたことにある。
なぜか?泊原発の安全基準をクリア―し、再稼働させるのには大が要る。
そのために、火力発電の手抜きで、金を浮かしたかったからと言われている。
ところで、このドサクサを利用して、御用学者や御用文化人たちが、
サギ師のような詭弁を弄している。
「こんなことがあるから、原発を早く再稼働させるべきだ」と。
恥ずかしくないのか?
今回の震源地が泊原発の直下だったらどうする?
札幌公演は、中島公園内にあるこぐま座で行われ、80人席は満杯だった。
この日、節電が緩和されたせいか、すすき野には大勢の人が溢れていた。

[第41回]蘭越町(北海道)公演 2018年9月16日

札幌から西南へ2時間40分のドライブ。ニセコの隣が、温泉と農業の町・
蘭越(らんこし)である。
人口は4000人くらいだが、文化活動が盛んで、札幌でやるなら、
是非こちらにもという要請があった。
町や教育委員会の後援もあり、蘭越町山村開発センターの150席は満席。
公演後は、上演委員会会長の自宅で懇親会。
各々が持ち寄った手造りのおかず。東京ではまずお目にかかれないような
山菜、野菜。小粒のトマトなども5色もあって、味の濃いこと。
とうもろこしも木の子も、昔食べたままの味。
こういう食物と較べると、都会人が食べているのは、「エサ」にすぎない。

翌日は、帰途、問題の泊原発を見に行った。対岸の漁港、岩内町からしか
姿が見られない。美しい海、畑、森。一つ間違えば、永久避難の対象だ。
土地の人に、来年、岩内町でも公演してくれと頼まれた。