会場の豊穣庵(ほうじょうあん)は、森の中にある神社とも寺とも言える古めかしい御堂。戦前に千葉から移築されたようだが、詳しい由緒は分からない。
 現在は宗教的用途には使われず、農家の渡辺夫妻が管理している。時々、ドリアン・助川氏(作家・音楽家)などが、ロックや朗読会場として使っており、地域の文化拠点になっている。
 渡辺夫妻は、以前は酪農中心だった。しかし、この周辺も福島原発事故で放射能に汚染され、牛たちの全頭処分を余儀無くされた。数千坪の農地があるが、その一部分で、安全米を収穫する努力を続けている。
 周辺全体が観光地ということもあり、風評被害を恐れる自治体は、情報発信に消極的だと言う。2日間の公演は、それぞれ60席が満杯で、原発に関する情報を欲する人々や、渡辺夫妻を応援する人々の熱気に包まれた。