埼玉県は面積がやたら広いうえ、交通綱が複雑で、結局のところあまり便利ではない。
これまで20ヶ所以上の市町を訪れているが、位置関係が頭の中で整理されていなかった。
秩父市は、今回初の訪問となる。「秩父困民党」という名前が浮かんでくるだけで、どんな町かイメージできなかった。
西武池袋線特急で、池袋から終点の西武秩父駅まで1時間20分。しゃれたデザインの大きな駅舎は、土産物スペースや、日帰り温泉になっている。
外に出て、近くの丘に登ると、盆地に広がる秩父市が見渡せる。
山里の忍者でも出るような風景を予想していたが、大外れだった。人口6万人を超える近代的な山岳都市である。
昔は絹織物が盛んで、石灰岩の山を崩すセメント産業は今も続いている。自然の風景も多様で、観光客も多い。
山菜や川魚も楽しめるし、『えびし』など独特の郷土料理も珍味だ。夏の異常な暑さがなければ、住んでみたくなるような環境に恵まれている。
公演場所は、秩父歴史文化伝承館ホール。300席がみごとに埋まった。
主催者団体がユニークで、地元の女子高卒の同級生10数人が作る市民クラブ。定年で退職した元女学生たちが、余生を有意義に過ごそうと、社会貢献の各種イベントを展開している
。福島の原発事故被災者との交流を重ね、この公演を実現するに至った。