福島県三春町はしだれ桜で有名。人口1万3000人の小規模な元城下町。
20年くらい前から、ゆっくりインフラ整備をしたらしく、合理的で住みやすそうな街並。
日本独自の数学「和算」の発祥地で、知識や文化を重んずる気風があり、文化イベントなども盛んだ。
今回は、朗読劇に適した中型サイズのホールがなく、1F、2F合わせて400席の大ホールを使ったが、目標を超える270人を動員でき、大いに盛り上がった。
三春町の町民は、今、重大な事態に直面している。
近隣の田村市で、「木質バイオマス発電所」という名目で、放射能に汚染された材木や樹葉を燃やす施設の建設計画が加速している。
バイオマス技術の悪用であり、死の灰が周辺地域にバラ撒かれる危険がある。これに対し、市民による反対運動も日に日に拡大しつつある。
明かるいニュースもある。2011年の原発事故の際、汚染のひどかった県、市町村では、常備していた「安定ヨウ素剤」を住民に配らなかった。
例外はただ一人、知識と判断力のあった三春町の担当課長が、上司にそんたくすることなく独断で配り、子どもたちを被曝から守ったのである。
今年、その課長が三春町長選に立候補。大方の予想をくつがえして大勝利。町は今、希望と喜びに燃えている。朗読劇の講演会場には、町長や、在住の芥川賞作家・玄侑宗久氏の姿もあった。