【第75回】公演 5月24日(金)北谷(沖縄県)

 那覇を昼ごろ出発。北谷(ちゃたん)へ向かって北上。途中、宜野湾市にある民営の佐喜眞美術館に立ち寄る。
 沖縄出身の画家たちのコレクションで有名である。出身者ではないが、「沖縄」をテーマにした絵も数点。中でも丸木位里氏の「沖縄戦の図」は、壁一面を埋める大作で、迫力満点だった。
 建物の屋上には、西海岸を望む展望台がある。
 1945年4月、ナチスが敗北すると、米軍は日本を目指した。ある日、54万人の兵を載せた軍艦1600隻が、読谷村に連なる海岸にこつ然と現れ、水平線の景色は一変した。この日から沖縄の悲劇が始り、24万人が命を落とすことになる。米軍による占領状態は、今日まで変らず続く。この夜も観客はほぼ満杯。


【第74回】公演 5月23日(木)那覇市(沖縄県)

 前日の22日に那覇市に到着。夕方には、沖縄タイムズや琉球朝日放送のインタビューを受ける。その様子は、QAB朝日放送の動画で、今でも配信されている。その後、沖縄の知性を代表するジュンク堂で、小一時間のトークショーを行う。
 明けて、沖縄3日連続上演の初日。昼まで時間があったので、国際通りから、幾つかの商店街を散歩。沖縄には5、6回来ているが、今回は15年ぶり。風景にさしたる変化はなく、昔のできごとをなつかしく思い出した。
 今回の連続公演は、準備期間も短く、いわばドサクサまぎれの力技で決まったので、観客動員の結果が心配された。そんなスタッフの不安を吹き飛ばすかのように、270人の集客があり、ほぼ満員の盛況。
 公演後の飲み会には、出版界、社会活動、報道界などから錚々たるメンバーが20人ほど集合、議論の熱い花が咲いた。中村の隣席には、琉球大学名誉教授・矢ケ崎克馬氏が坐った。
 教授は、原発事故直後から福島で放射能を測定し、物理学の視点から、内部被曝の危険性を警告してきた。


【第73回】公演 5月17日(金)八代市(熊本県)

 近くには日奈久温泉があり、俳人・種田山頭火が泊ったという木賃宿が一軒、当時のまま保存されている。
 8年前、自作の2人芝居「山頭火物語」を、ここの大旅館の大広間で上演したことがある。この上演を推進してくれた人々が、今回の朗読劇上演運動の中心になっていただいた。八代市には、小規模の公共ホールがなく、小さいものでも500席のスケールだ。こうしたイベントでは、300人を集めるのも大変だという。今回は、フタを開けると400人の大盛況だった。新記録だという。
 またこの地は、国会議員時代に、球磨川や川辺川のダム問題で何度か視察しており、環境活動家たちとも顔なじみだ。今回は、なつかしい人々に会う機会にもなった。


【第72回】公演 5月11日(土)豊岡市(兵庫県)

 豊岡市へ陸路で行くと、とてつもなく時間がかかる。最短は空路だ。羽田から伊丹空港まで小一時間。そこから但馬空港まで35分だが、これが昔なつかしいプロペラ機。最後にセスナに乗ったのは、北京から北朝鮮に入った1987年だから、32年ぶりということになる。
 豊岡市は、環境都市として有名だ。農薬で生物が死に、エサがなくなったコウノトリは、古来から住みついていたこの地を去った。
 10数年前から、市長を先頭に、無農薬、低農薬農業を実践し、今ではコウノトリパークができ、観光の目玉になっている。コウノトリ米はブランドになり、名産品になった。近くには、文豪たちが愛した城崎温泉が、レトロな街並を残している。
 公演は、女性リーダーたちががんばり、250の常設席を20席も上廻る大盛況だった。


【第71回】公演 5月5日(日)野田市(千葉県)

 東京都内からは、かなり移動に時間がかかる。普通電車を使うので、長時間席につけないと、そのまま公演に入るのはきつすぎる。
 そんなわけで、前日の夕方入り。東武鉄道野田市駅は、停車場のように小さく、周囲は工事現場で、灯のともっている店や建物も少ない。
 タクシーを拾い、幹線道路を15分走ってビジネスホテルへ行くようにという指示があった。だが改札を出ても、タクシーどころか、歩いている人すらいない。やっと小さな交番を見つけ、一人だけいた若い警官にタクシー乗り場を教えてもらう。「待っていてもタクシーは来ませんよ」。 
 警官は変なことを言った。目立たぬ小さな標識を見つけて、意味が分かった。「御用の方は電話下さい」と書いてある。電話をすると、民家のような感じで、中年のオジさんが「しばらくしたら迎えに行く」と言った。ひょっとして、この町には一台しかタクシーがないのかと思ったら、急にオカしくなって笑いがとまらなくなった。野田市は「大都市」のイメージがあったのだが、これはこれでまことにユーモラスで個性的だ。
 翌日の公演は、330席の欅ホール(小ホール)は満席。昔の知り合いが、何組も訪ねてきたのでびっくりした。本当に不思議な町だ。