【第48回】北九州市(福岡県)公演 2018年11月17日

 合併で広くなった北九州市だが、昔は、小倉が中心だった。30年前までは、毎年1度は小倉空港に降り立った。
 中村のもう一面の顔だが、競輪評論家という肩書があり、競輪発祥の地を記念する小倉競輪祭のTV中継のゲストを続けていた。
 さて、開発が拡大してしまった小倉駅前の風景はすっかり変り、レトロで味わいのあった小倉ホテルも駅ビルの中に閉じ込められてしまった。
 公演は、隣接する黒崎地区、昔は八幡製鉄の本拠地の一部だった。
 主催の中心は、反原発グループの連合体で、中には作業員としての訴訟が注目されている「あらかぶさんを支える会・北九州」なども含まれる。
 もちろん、黒崎コムシティの中にある劇場は満員、熱い反響が湧き上がった。


【第47回】仙台市(宮城県)公演 2018年11月7日

 宮城県では、2月の大河原町に続いて2回目の公演である。
 仙台映画村の人々、市議、日本キリスト教団・東北教区、カトリック正義と平和、みやぎ脱原発・風の会など、多様な組織や個人が合同して上演を可能にした。
 定員200名は軽く超えるどころか、あふれる申し込みに対処するため、来年1月11日に市内の寺を舞台に追加公演となった。
 今回の会場・宮城野区文化センターは音響効果がよく、朗読の質が向上した。観客の反応にも、熱気がみなぎっていた。
 会場販売の単行本「線量計が鳴る」も60冊を完売し、新記録となった。


【第46回】津市(三重県)公演 2018年11月1日

 三重県は、市民運動が原発建設を阻止した輝かしい実績がある。
 今回は、NPO法人三重市民風車プロジェクトの皆さんが中心で、三重県保険医協会、核戦争防止国際医師会議三重支部、書道三青社等々の協力を得て、上演委員会が立ち上がった。
 当初は、三重県総合文化センター・小ホールを埋められるか心配されたが、フタを開ければ超満員で、活気に充ちた劇場空間が生れた。
 台本を単行本化した「線量計が鳴る」も、予定の50冊がすぐ完売した。


【第45回】山形市(山形県)公演 2018年10月20日

 山形市の周囲には、湯質の良い温泉が集中している。
 公演前日、泊めていただいたのは上山温泉の老舗旅館。
 町は武家屋敷通りなどがあり、古民家を改築したオシャレなカフェなどもあるが、観光業は下降気味だという。
 公演は山形市の郊外にあるシベールアリーナ。
 作家の故・井上ひさしさんのリーダーシップで企画された文化村の中にある劇場だ。10年ほど昔になるか、阿刀田高さんの主催の朗読会がここで行われ、私が同地出身の作家・藤沢周平の「暗黒剣千鳥」を朗読した。当時のスタッフもおり、懐かしさを胸に250名の客の前で「線量計が鳴る」を演じた。


【第44回】大東文化大学(東松山市)公演 2018年10月18日

 学生500名・・・こんなに多くの若者相手に公演するのは初めて。
 これまでは、ほとんどが中高年だったので、反応が異るだろうと予測していた。
 想定外だったのは、今まで100%笑いがあったところで、声も拍手もなかったことだ。全体的に、押し殺したような沈黙が続いた。
 原発事故が起きたのは、この子たちが高校低学年か中学生の時だった。
 被曝したり、避難したりした生徒以外は、この大それた社会問題に向き合う経験や環境がなかったのかも知れない。
 朗読劇「線量計が鳴る」が、学生たちにとって異次元の出会いであったかも知れぬ。いずれにしても、書いてもらったアンケートの中味が興味深い。


【第43回】ひたちなか市(茨城県)公演 2018年10月7日

 公演は10/7日(日)だったが、前日入りした。
 常磐線の勝田駅(ひたちなか市)を通り過ぎ、次の東海駅で降りた。
 期限の切れたポンコツ(東海第2原発)を原子力規制委員会が安全と判定し、20年間の延長再稼働を認めたばかりである。これを受け入れるかどうか、近隣自治体の反対派市民とひもつき政治家たちがもめている。
 東海村を実際に見て、少からぬショックを受けた。
 海際の小さな土地のあちこちに、核関連の大型研究施設や廃棄物処理場などが、十数ヶ所も点在し、それが村の骨格を形成している。
 あちこちに保管されている低レベル、高レベルの固体廃棄物のドラム缶は、十数万個になるだろう。まさに、放射能施設に占領された村である。
 東海第2原発から30km圏内で生活する住民は、96万人。日本でも最悪の密度である。東京からの距離にしても、110kmと最短であり、福島原発までの半分だ。こんなところで再稼働とは、狂気の沙汰としか思えぬ。
 近隣自治体の住民の危機意識も高まっており、10/7の小劇場も、定員110人を超える超満員。客席から、終始熱い声援が飛んだ。


【第42回】立川市(東京)公演 2018年9月24日

 主催の「たまあじさいの会」は、西多摩郡日の出町を本拠とする市民環境団体。
 以前はこの地のごみ処分場に、三多摩400万人の生活ごみが、1日100トンも運ばれ焼却されていた。ダイオキシンなどで周辺の森林や住宅地が汚染され、健康被害が拡大した。第一処分会場が満杯になり、新たに第二処分場の建設が始った時、市民たちが東京都にNOを突きつけて立ち上がった。
 その中心を担ったのが20年前結成された「たまあじさいの会」である。自らも科学的調査機能を持ち、定点観測をくり返し、裁判を起こし、市民に情報を提供してきた。第二処分場建設は結局強行されたが、「会」は今でも焼却灰や多摩川に流れる放射能などの調査を続けている。
 中村が参議院へ入ったのも、奇しくも20年前。議員連盟「公共事業チェック議員の会」の会長として、何度も日の出町へ入り、市民の応援を続けた。後には、この処分場をモデルにした小説「ごみを喰う男」(徳間書店2007年)を発表。
 今回の公演は、「たまあじさいの会」20周年記念のイベントのひとつとして実現した。


【第41回】蘭越町(北海道)公演 2018年9月16日

 札幌から西南へ2時間40分のドライブ。ニセコの隣が、温泉と農業の町・蘭越(らんこし)である。
 人口は4000人くらいだが、文化活動が盛んで、札幌でやるなら、是非こちらにもという要請があった。
 町や教育委員会の後援もあり、蘭越町山村開発センターの150席は満席。
 公演後は、上演委員会会長の自宅で懇親会。各々が持ち寄った手造りのおかず。東京ではまずお目にかかれないような山菜、野菜。小粒のトマトなども5色もあって、味の濃いこと。
 とうもろこしも木のこも、昔食べたままの味。こういう食物と較べると、都会人が食べているのは、「エサ」にすぎない。
 翌日は、帰途、問題の泊原発を見に行った。対岸の漁港、岩内町からしか姿が見られない。美しい海、畑、森。一つ間違えば、永久避難の対象だ。土地の人に、来年、岩内町でも公演してくれと頼まれた。