家から東京駅まで、車で1時間。東海道新幹線で、名古屋まで2時間。ここで、近鉄線(大阪方面)に乗りかえ、名張駅まで特急で1時間30分。合計4時間30分、乗りものの中で座っている。
 会場に到着して、約1時間くらいは、舞台のセッティングとリハーサル。
 その後開演前までに、50冊の本にサイン。18時開演で、立ったままの2時間朗読。終わってからの懇親会が2時間。あとは寝るだけ。
 公演旅行のパターンは色々あるが、このケースが一番ハードだ。しかし、ボランティアの住民たちが、250席を満杯にしてくれたと思うとぜいたくは言えない。
 名張市は、藤堂高虎の息子の城下町で、江戸期から昭和の初めまでは、御伊勢参りの宿場町としてにぎわった。それからは、幸か不幸か開発に乗り遅れ、昭和レトロの面影が残る。古い建物群、迷路のような細い道。これを活用できないかとも思うが、行政にはイノベーションの意欲も知恵もないとのこと。一時は、大阪のベットタウンとして、人口も増えたが、最近では減少に向かっているという。
 この公演を盛り立ててくれた人たちがいるという事実だけが、明るい要素だ。何せ、町は行政やゼネコンが作るものではなく、そこに暮す住民たちが創造するものだから。