【第73回】公演 5月17日(金)八代市(熊本県)

 近くには日奈久温泉があり、俳人・種田山頭火が泊ったという木賃宿が一軒、当時のまま保存されている。
 8年前、自作の2人芝居「山頭火物語」を、ここの大旅館の大広間で上演したことがある。この上演を推進してくれた人々が、今回の朗読劇上演運動の中心になっていただいた。八代市には、小規模の公共ホールがなく、小さいものでも500席のスケールだ。こうしたイベントでは、300人を集めるのも大変だという。今回は、フタを開けると400人の大盛況だった。新記録だという。
 またこの地は、国会議員時代に、球磨川や川辺川のダム問題で何度か視察しており、環境活動家たちとも顔なじみだ。今回は、なつかしい人々に会う機会にもなった。


【第72回】公演 5月11日(土)豊岡市(兵庫県)

 豊岡市へ陸路で行くと、とてつもなく時間がかかる。最短は空路だ。羽田から伊丹空港まで小一時間。そこから但馬空港まで35分だが、これが昔なつかしいプロペラ機。最後にセスナに乗ったのは、北京から北朝鮮に入った1987年だから、32年ぶりということになる。
 豊岡市は、環境都市として有名だ。農薬で生物が死に、エサがなくなったコウノトリは、古来から住みついていたこの地を去った。
 10数年前から、市長を先頭に、無農薬、低農薬農業を実践し、今ではコウノトリパークができ、観光の目玉になっている。コウノトリ米はブランドになり、名産品になった。近くには、文豪たちが愛した城崎温泉が、レトロな街並を残している。
 公演は、女性リーダーたちががんばり、250の常設席を20席も上廻る大盛況だった。


【第71回】公演 5月5日(日)野田市(千葉県)

 東京都内からは、かなり移動に時間がかかる。普通電車を使うので、長時間席につけないと、そのまま公演に入るのはきつすぎる。
 そんなわけで、前日の夕方入り。東武鉄道野田市駅は、停車場のように小さく、周囲は工事現場で、灯のともっている店や建物も少ない。
 タクシーを拾い、幹線道路を15分走ってビジネスホテルへ行くようにという指示があった。だが改札を出ても、タクシーどころか、歩いている人すらいない。やっと小さな交番を見つけ、一人だけいた若い警官にタクシー乗り場を教えてもらう。「待っていてもタクシーは来ませんよ」。 
 警官は変なことを言った。目立たぬ小さな標識を見つけて、意味が分かった。「御用の方は電話下さい」と書いてある。電話をすると、民家のような感じで、中年のオジさんが「しばらくしたら迎えに行く」と言った。ひょっとして、この町には一台しかタクシーがないのかと思ったら、急にオカしくなって笑いがとまらなくなった。野田市は「大都市」のイメージがあったのだが、これはこれでまことにユーモラスで個性的だ。
 翌日の公演は、330席の欅ホール(小ホール)は満席。昔の知り合いが、何組も訪ねてきたのでびっくりした。本当に不思議な町だ。


【第70回】公演 4月27日(土)町田市(東京都)

 4月27日は、10連休の最初の日。前日になってそのことに気がついた。
 東京ー町田は、車で移動しても約1時間半なのだが、こんな大連休では、何時間かかるか分からない。当日入りは無理と判断し、慌ててホテルを探し、前日の夕方に町田入りした。
 当日は、キャンセルも出て、客の入りが心配されたが、188席の定席は満員で、関係者はホッと胸をなでおろした。反響もあり、再上演を望む声もある。


【第69回】公演 4月21日(日)高知市(高知県)

 前日の室戸に続く連日2回公演だが、どちらも地元の医療法人・恕泉会主導のプロモーションである。脳神経外科医の内田理事長は、社会貢献のためのさまざまな文化事業をバックアップしている。
 公演場所は、由緒ある三翠園で、300人以上の観客が集まった。地理的に遠隔地にあるためかどうかは定かではないが、ここの人々はおっとりしていて人柄がよい。夏の暑さだけが問題だが、自然環境に恵まれた住みやす
そうな土地である。


【第68回】公演 4月20日(土)室戸市(高知県)

 初めての午前公演なので、前日に高知・竜馬空港から、関係者の車で室戸市に入る。所要1時間40分。室戸市は明治維新のヒーロー、中岡慎太郎の出身地。
 中村の宗祖・空海が、長期滞在して修行した場所としても有名。室戸岬の洞窟で坐禅を組んでいると、太陽が火の玉となって口の中へ飛び込んできたという伝説がある。その洞窟を訪ね、しばし感慨にひたる。
 室戸市は、昔から遠洋まぐろの漁の拠点でもあり、漁師の多い町だったが、1946年から始まったマーシャル群島海域での米国による水爆実験で、ここから出港していた漁師たちから、多くの犠牲者を出した。朗読劇でも短い言及があるが、ドキュメンタリー映画「放射線を浴びたX年後」及びその続編で詳細が描かれている。
 今回の朗読劇でも、これらの映画を監督した伊東英明氏や、被爆で亡くなった漁師の娘である川口美紗さんがスタッフとして協力して下さった。


【第67回】公演 4月17日(水)杉並公演(東京都)

 東京での公演は、今回で13回目になる。(世田谷区1、調布1、笹塚6、三鷹2、立川1、北区1)。日本全国では、67回目となる。
 東京での公演の難しさは、公共のホールを簡単に予約ができないことだ。商業劇場だと、劇場費が高く、最初から採算が取れない。
 NPO杉並文化村の人たちは、8ヶ月前にやっとこの小屋を確保し、上演準備に入った。250~300席くらいの小屋はすべてふさがっていて、ウィークデイのこの日だけを押さえることができた。定員180席は、すでに数ヶ月前から予約で満杯。文化村の人々が口惜しがることしきりだった。


【第66回】公演 4月13日(土)佐久市(長野県)

 そもそも今回の公演が決ったのは、昨年九月の松本市(長野県)の公演を、数人の人々(サラバ原発佐久の会メンバー)が観たことから始まる。佐久市と松本市では地理的に東西に分かれており、間には山岳地帯が立ちはだかっている。公共交通機関も便利ではない。しかし、両市の知識人や文化人は、山を越え1時間半のドライブをものともせず、往来が盛んである。今回も、同市での公演を見落とした人々が、どっと松本市からやってきた。とにかく、知的好奇心が高い。
 3週前にはチケットが完売、定員250人のところ、270人が入場した。
 公演後、長野市から来たという女性から、是非長野市でもやって欲しいと申し込みがあった。彼女は、福島からの避難者だという。
 新発見があった。ここでは、4月13日時点で桜はまだ開花していない。残りものには「福」って感じ。