【第95回】公演11月28日(土)13時30分開演長野市(長野県)

再開後2度目の公演。
今回の実行委の先頭に立ったのは、福島から子連れで避難しているKさんという女性だ。事故が起きて初めて、原発の恐ろしさや社会の不条理を思い知った。自分や周囲の人々が体験したことを全国に知らせたい。事故の記憶と歴史を忘れさせない運動に参加したいと思った。佐久市(長野)で観たこの朗読劇を、もっと広めることも重要と考えた。
 この情熱が、長野の市民運動家たちの共感を呼び、公演にこぎつけた。とは言え、観客やスタッフの安全を考えながら、舞台を成立させるには、大変な気苦労が要る。参加するすべての人々には、ある種の覚悟が要求される。「それだけの価値があるのか?」。とてつもない問いかけが心をよぎる。無事公演が済み、数日後に安全が確認され、やっと喜びと達成感を味わう。原発と闘うことは、コロナとも闘うことだと理解する。


【上演報告】[第94回]公演 11月7日(土)横浜市

リリスホール

 横浜市内・リリスホールで、94回目、8ヶ月ぶりの朗読劇「線量計が鳴る」の再開だ。コロナ禍で、2度も延長した後の公演。主催は、ぶんぶんトークの会。安全対策、スタッフの苦労も、並のものではなかったようだ。
 とにかく、やり抜くという強い姿勢には頭が下がる。
 中村の方は、PCR検査をするだけでよいが、観客は、2時間もマスクをしたままなので、さぞかし厳しかっただろう。
 春には販売したチケットは、ほとんどが使われ、220名の大入りとなった。
 「劇」は、同じ空間を演者と客が共有し、熱い火花が起きてこそ、力が生まれる。
 周囲の状況を見ながら、ボチボチと続けてゆく覚悟です。


【第93回】公演 2月29日(土)所沢市(埼玉県)

 コロナ・ウィルスに振り回されて、すべての業界が迷走している。
 政府は当初、水際作戦などと甘く見ていたが、今ごろになり、パンデミックの
危険性があることを知り、日替わりで方針を変えている。
 大した根拠もなく、とんでもないこと言い出すので、民間は独自の判断を迫られる。
 この朗読劇も、毎日出る被害情報を検討しながら方針を決めているが、中村の
基本姿勢は、主催者の最終決断に従うということである。
 今回も、ギリギリで公演実行に踏み切った。主催者たちは、衛生面、環境面でも、最大の努力を払った。舞台設営もきびきびと進み、イベント経験を積んだスタッフであることが分かる。入場券は250枚売れ、来場者は170名。
 観客も、それぞれの覚悟で事態と対面せざるを得なかった。
 この状況は、まだ先も続く。


【第92回】公演 2月24日(月)高松市(香川県)

 前日、松山公演が終ると、そのまま隣県の高松へ移動。距離が長く、車で2時間を超える。高速は大地震帯である中央構造線の真上を走っている。
 当局は当初、それが自慢だったらしく、土手に大きな看板を出していたが、最近は「恥」だと気がつき取り壊したようだ。「バカは死ななきゃ直らない」とはこのことか?
 高松は、市民の反原発運動が盛んで、「四国電力前金旺行動」というパフォーマンスが毎週続いている。運動の中心は、「脱原発アクションIN香川」である。
公演に協力してくれたボランティアたちは、それぞれ芸や技術があり、社会運動をするのが楽しそうである。長続きするには、「面白い」というのが秘訣かも知れない。
 帰途、空港近くでごちそうになった鍋やきうどんは超おいしかった。
徳島に感染者が出て、集会の自粛が勧められているが、こちらは何とか無事にやり遂げた。
 今後はどうなるか、最終判断は主宰者に任せようと思う。


【第91回】公演 2月23日(日)松山市(愛媛県)

愛媛公演

 松山市民会館小ホールだが、ここは本来、能舞台である。松山では、伝統として能を楽しむ市民が多いとのことだった。又、子規、虚子の出身地であり、漱石の「坊ちゃん」の舞台であり、山頭火の臨終の地であったり、近代文芸史では欠かせない都市である。能舞台で朗読劇をやるのは初めてだったが、古い建築物とは言え、音響効果がよく計算されていた。客は170名以上。補助椅子を出すくらいの盛況だった。
 伊方原発の裁判が話題になっており、市民は再び原発を意識し初めたようだ。
 伊方原発からは、一年で20億トン以上の廃水が瀬戸内海に放出され、トリチウム汚染が原因の白血病患者は平均の6倍も出るという。
 この連続公演も、一人の女性が提案して始り、実現にこげつけた。


【第90回】公演 2月22日(土)今治市(愛媛県)



瀬戸内海側3都市連続公演だ。今治、松山、高松の実行委員会の共同開催となる。
今治は、タオル産業の町として一時は500件くらいの小型工場があった。
現在は、10分の1くらいに衰退し、町には元気がない。
そこで、シンゾー首相とお友だちの加計学園が、政府のバックアップで、意味不明の
獣医大学を作ることになった。
こんな所で、猿や豚の研究をする必要性もないから、もっと危険な目的が隠されて
いるのではという噂もある。何れにせよ超保守の風土で、自治体議会にもリベラル
議員が一人くらいしかいない。革新的なイベントをやりたい市民は、かなりの圧力を
受ける。当日の有料入場者は62名と、過去最少だったが、それでもこの地では異例
の反響だとのこと。客の人数は少くとも、インパクトは何十倍もある。
日本の夜明けはこうして始るのだ。


【第89回】公演 1月19日(日)厚木市(神奈川県)



個人が、「線量計が鳴る」の公演をどこか別の場所で見て、自分の生活する地域で
上演運動を始める。このようなケースは多く、4回に1回くらいの割合になる。
今回も同じケース。上演委員会を作ることによって、さまざまな人々と親交ができ、
新しいテーマで次の行動に移ることもある。
厚木市文化会館は、大小2ホールがあり、小ホールでも、セッティング次第で300席
以上確保できる。
今回は270席くらい埋まったが、ほぼ満員に見え、なかなかの盛り上がりがあった。


【第88回】公演 1月11日(土)港区(東京都)

本年度第1回公演だが、延べで88回目である。
本来は、昨年10月12日の予定だったが、当日超大型台風に見舞われ、今回まで延期された。広告期間が伸びたせいか、208席は入れないほどの満員となった。
上演委の主体は、脱被ばく実現ネットワーク(福島県や周辺から避難している人々を物心両面で支える団体)や他の反原発グループ、沖縄カカオプロジェクトのネバリ・バザーロ、アマチュア女性カメラマンから見える風景を展示するフォトボイス等々、多様なグループのボランティアたちだった。20人近い現実の避難者も観劇し、終演後に中村の楽屋を訪れた。劇の主人公も被災者という設定なので、中村も仲間と思われたようで、楽屋は華やかな交流の場となった。被災者でありながら、自ら仲間の救援運動に尽力している人もいる。こういう人たちに接すると、日本も捨てたもんじゃないなと思い直す。
駄目なのは、官邸や永田町で利権をむさぼるドブねずみたちだけなのか?