【第85回】公演 10月6日(日)三春町(福島県)

福島県三春町はしだれ桜で有名。人口1万3000人の小規模な元城下町。
20年くらい前から、ゆっくりインフラ整備をしたらしく、合理的で住みやすそうな街並。
日本独自の数学「和算」の発祥地で、知識や文化を重んずる気風があり、文化イベントなども盛んだ。
今回は、朗読劇に適した中型サイズのホールがなく、1F、2F合わせて400席の大ホールを使ったが、目標を超える270人を動員でき、大いに盛り上がった。
三春町の町民は、今、重大な事態に直面している。
近隣の田村市で、「木質バイオマス発電所」という名目で、放射能に汚染された材木や樹葉を燃やす施設の建設計画が加速している。
バイオマス技術の悪用であり、死の灰が周辺地域にバラ撒かれる危険がある。これに対し、市民による反対運動も日に日に拡大しつつある。
明かるいニュースもある。2011年の原発事故の際、汚染のひどかった県、市町村では、常備していた「安定ヨウ素剤」を住民に配らなかった。
例外はただ一人、知識と判断力のあった三春町の担当課長が、上司にそんたくすることなく独断で配り、子どもたちを被曝から守ったのである。
今年、その課長が三春町長選に立候補。大方の予想をくつがえして大勝利。町は今、希望と喜びに燃えている。朗読劇の講演会場には、町長や、在住の芥川賞作家・玄侑宗久氏の姿もあった。


【84回】公演 9月22日(日)千葉市(千葉県)

千葉県の南部では停電が2週近く続いており、予報も雨、嵐の予報だったので、上演が危ぶまれた。ところが、当日はカラリと日本晴。不思議な記録だが、これまで84回の公演で、雨天は1日もない。
さて、大都市での公演の大問題は、公共のホールが簡単に確保できないことである。何度か予定変更のあと、今回の開催にたどりついたのだが、客席が500もある大ホールだった。
理想は200~300くらいの中型ホールだが、決めた以上はやるしかない。主催は、医師の団体単独なので、動員は苦戦されたようだ。まして、大型停電が続いていて、ホールに来れなかった人も少くない。
それでも、200人以上の観客が集り、反響も熱く、公演自体もスムースに進行した。


【第82回】公演 8月31日(土)郡山市(福島県)

福島県は、南北の直線で、3分割されて語られることが多い。
太平洋側の「浜通り」、真ん中の「中通り」、山岳地の「山通り」。
「浜通り」は爆発のあった発電所を持つ4町があり、当然のことながら帰還不能地域もある最悪の放射能汚染地帯。
「中通り」は、北から南へ、福島、郡山、白河と行政の中心都市が並ぶが、プルームと呼ばれる放射能雲がいくつも通過し、名所に危険なホットスポットを作った。
当時は、高い放射線数値が発表されたが、今は「風評被害」を盾にして、事実の告知や発表を抑制している。会津若松は比較的被曝は軽いが、農業の一部は絶望的であり、その地を自然エネルギーの拠点とする企画も実現しつつある。
30万都市郡山では、流石に原発事故への関心が高く、知識人、社会運動家、文化人、芸術家などが、この朗読劇の実現に汗をかいてくれた。
200席に、50席の補助椅子を出す大盛会となった。


【第81回】公演8月24日(土)秩父市(埼玉県)

埼玉県は面積がやたら広いうえ、交通綱が複雑で、結局のところあまり便利ではない。
これまで20ヶ所以上の市町を訪れているが、位置関係が頭の中で整理されていなかった。
秩父市は、今回初の訪問となる。「秩父困民党」という名前が浮かんでくるだけで、どんな町かイメージできなかった。
西武池袋線特急で、池袋から終点の西武秩父駅まで1時間20分。しゃれたデザインの大きな駅舎は、土産物スペースや、日帰り温泉になっている。
外に出て、近くの丘に登ると、盆地に広がる秩父市が見渡せる。
山里の忍者でも出るような風景を予想していたが、大外れだった。人口6万人を超える近代的な山岳都市である。
昔は絹織物が盛んで、石灰岩の山を崩すセメント産業は今も続いている。自然の風景も多様で、観光客も多い。
山菜や川魚も楽しめるし、『えびし』など独特の郷土料理も珍味だ。夏の異常な暑さがなければ、住んでみたくなるような環境に恵まれている。
公演場所は、秩父歴史文化伝承館ホール。300席がみごとに埋まった。
主催者団体がユニークで、地元の女子高卒の同級生10数人が作る市民クラブ。定年で退職した元女学生たちが、余生を有意義に過ごそうと、社会貢献の各種イベントを展開している
。福島の原発事故被災者との交流を重ね、この公演を実現するに至った。


【第80回】公演8月4日(日)浜松市(静岡県)

暑さには滅法弱いので、7月は公演予定を入れなかった。ところが、今年の7月は雨ばかり
で、気温もづっと低かった。予測が外れ、8月になった途端、猛暑の波が襲いかかってきた。
浜松市の面積はやたらと広い。大型合併の結果で、今回の公演の地元である浜北区も、昔は
一つの独立した市であった。新幹線の浜松駅から、車で約40分の距離だ。暑さを吹き飛ば
し、観客席は、予定の250人をクリアーした。浜岡原発が近くにあるので、住民の原発に
関する危機感は強い。上演中、女性の声の激が多く飛んだ。
一ヶ月ぶりの上演で、声がもつかと心配だったが、問題はなかった。今回は、80回目の公演。
これだけやっていると、喉も簡単にはつぶれないようだ。