【第87回】公演 11月23日(土)徳島市(徳島県)

徳島市での公演は2度目となる。最初は2017年6月3日で、寺町の名刹・般若院の本堂が舞台だった。御堂は満員で、入り切れない観客のために、庭にスクリーンを張り、折りたたみの椅子を並べた。
同時中継で、切り抜けた。当時は、全国で10回ぐらいやれれば幸いと思っていた。あれから3年、今回で87回となった。本来は88回目で、徳島にふさわしい数字だと思っていたが、秋の台風で東京公演が1回分、来年へ延期されたので87回になった。しかし、般若院の住職によると、88回の満願よりも、1回少い方が未来があるとのことだった。そんなわけで、88回目は来年にもち越すことにして、12月は溜ってしまった原稿執筆や資料整理、講演活動の時間にあてる予定。今回の公演は、朗読サークル、映画上映運動、市民運動など、さまざまな人々が上演委員会を作って下さって成立した。シビックセンター・さくらホールは、予想を超えて、240人前後の観客が集合し、大盛況だった。裏方をつとめて下さった方々に感謝したい。


【第86回】公演 11月16日(土)飯島町(長野県)

現在の長野県は、明治になってから伊那県として出発した。ここ飯島町(現在の駒ヶ根市の隣り)が、県庁所在地だった。しかし、地形が南北に広がりすぎたので、二つに分割され、北部が中野県、南部が伊那県となった。
その後、改革が何度もあり、最終的には今の長野県となった。今回の公演を主催したのは、飯島町でドキュメンタリー映画の上映会を続けてきた市民グループ。実演ものを手がけるのは初めてだったが、会場は満杯の200人を集めて大盛況。公演前夜には、海抜900m地点まで山道を車で登り、古民家を改造した野菜料理のレストランで親睦会。10種くらいの野菜を重ねて蒸すと、各種野菜の汁が混合して、独特の珍味となる。伝統的な郷土料理だと言う。
長野県のあちこちに、オーガニックレストランがあり、医療制度も進んでいるので、都市から引退者の移住が増えているようだ。三つのアルプス山脈があり、風景は変化に富んでいる。ナチュラリストにはたまらない風土なのだろう。


【第85回】公演 10月6日(日)三春町(福島県)

福島県三春町はしだれ桜で有名。人口1万3000人の小規模な元城下町。
20年くらい前から、ゆっくりインフラ整備をしたらしく、合理的で住みやすそうな街並。
日本独自の数学「和算」の発祥地で、知識や文化を重んずる気風があり、文化イベントなども盛んだ。
今回は、朗読劇に適した中型サイズのホールがなく、1F、2F合わせて400席の大ホールを使ったが、目標を超える270人を動員でき、大いに盛り上がった。
三春町の町民は、今、重大な事態に直面している。
近隣の田村市で、「木質バイオマス発電所」という名目で、放射能に汚染された材木や樹葉を燃やす施設の建設計画が加速している。
バイオマス技術の悪用であり、死の灰が周辺地域にバラ撒かれる危険がある。これに対し、市民による反対運動も日に日に拡大しつつある。
明かるいニュースもある。2011年の原発事故の際、汚染のひどかった県、市町村では、常備していた「安定ヨウ素剤」を住民に配らなかった。
例外はただ一人、知識と判断力のあった三春町の担当課長が、上司にそんたくすることなく独断で配り、子どもたちを被曝から守ったのである。
今年、その課長が三春町長選に立候補。大方の予想をくつがえして大勝利。町は今、希望と喜びに燃えている。朗読劇の講演会場には、町長や、在住の芥川賞作家・玄侑宗久氏の姿もあった。


【84回】公演 9月22日(日)千葉市(千葉県)

千葉県の南部では停電が2週近く続いており、予報も雨、嵐の予報だったので、上演が危ぶまれた。ところが、当日はカラリと日本晴。不思議な記録だが、これまで84回の公演で、雨天は1日もない。
さて、大都市での公演の大問題は、公共のホールが簡単に確保できないことである。何度か予定変更のあと、今回の開催にたどりついたのだが、客席が500もある大ホールだった。
理想は200~300くらいの中型ホールだが、決めた以上はやるしかない。主催は、医師の団体単独なので、動員は苦戦されたようだ。まして、大型停電が続いていて、ホールに来れなかった人も少くない。
それでも、200人以上の観客が集り、反響も熱く、公演自体もスムースに進行した。


【第82回】公演 8月31日(土)郡山市(福島県)

福島県は、南北の直線で、3分割されて語られることが多い。
太平洋側の「浜通り」、真ん中の「中通り」、山岳地の「山通り」。
「浜通り」は爆発のあった発電所を持つ4町があり、当然のことながら帰還不能地域もある最悪の放射能汚染地帯。
「中通り」は、北から南へ、福島、郡山、白河と行政の中心都市が並ぶが、プルームと呼ばれる放射能雲がいくつも通過し、名所に危険なホットスポットを作った。
当時は、高い放射線数値が発表されたが、今は「風評被害」を盾にして、事実の告知や発表を抑制している。会津若松は比較的被曝は軽いが、農業の一部は絶望的であり、その地を自然エネルギーの拠点とする企画も実現しつつある。
30万都市郡山では、流石に原発事故への関心が高く、知識人、社会運動家、文化人、芸術家などが、この朗読劇の実現に汗をかいてくれた。
200席に、50席の補助椅子を出す大盛会となった。