【第44回】大東文化大学(東松山市)公演 2018年10月18日

 学生500名・・・こんなに多くの若者相手に公演するのは初めて。
 これまでは、ほとんどが中高年だったので、反応が異るだろうと予測していた。
 想定外だったのは、今まで100%笑いがあったところで、声も拍手もなかったことだ。全体的に、押し殺したような沈黙が続いた。
 原発事故が起きたのは、この子たちが高校低学年か中学生の時だった。
 被曝したり、避難したりした生徒以外は、この大それた社会問題に向き合う経験や環境がなかったのかも知れない。
 朗読劇「線量計が鳴る」が、学生たちにとって異次元の出会いであったかも知れぬ。いずれにしても、書いてもらったアンケートの中味が興味深い。


【第43回】ひたちなか市(茨城県)公演 2018年10月7日

 公演は10/7日(日)だったが、前日入りした。
 常磐線の勝田駅(ひたちなか市)を通り過ぎ、次の東海駅で降りた。
 期限の切れたポンコツ(東海第2原発)を原子力規制委員会が安全と判定し、20年間の延長再稼働を認めたばかりである。これを受け入れるかどうか、近隣自治体の反対派市民とひもつき政治家たちがもめている。
 東海村を実際に見て、少からぬショックを受けた。
 海際の小さな土地のあちこちに、核関連の大型研究施設や廃棄物処理場などが、十数ヶ所も点在し、それが村の骨格を形成している。
 あちこちに保管されている低レベル、高レベルの固体廃棄物のドラム缶は、十数万個になるだろう。まさに、放射能施設に占領された村である。
 東海第2原発から30km圏内で生活する住民は、96万人。日本でも最悪の密度である。東京からの距離にしても、110kmと最短であり、福島原発までの半分だ。こんなところで再稼働とは、狂気の沙汰としか思えぬ。
 近隣自治体の住民の危機意識も高まっており、10/7の小劇場も、定員110人を超える超満員。客席から、終始熱い声援が飛んだ。


【第42回】立川市(東京)公演 2018年9月24日

 主催の「たまあじさいの会」は、西多摩郡日の出町を本拠とする市民環境団体。
 以前はこの地のごみ処分場に、三多摩400万人の生活ごみが、1日100トンも運ばれ焼却されていた。ダイオキシンなどで周辺の森林や住宅地が汚染され、健康被害が拡大した。第一処分会場が満杯になり、新たに第二処分場の建設が始った時、市民たちが東京都にNOを突きつけて立ち上がった。
 その中心を担ったのが20年前結成された「たまあじさいの会」である。自らも科学的調査機能を持ち、定点観測をくり返し、裁判を起こし、市民に情報を提供してきた。第二処分場建設は結局強行されたが、「会」は今でも焼却灰や多摩川に流れる放射能などの調査を続けている。
 中村が参議院へ入ったのも、奇しくも20年前。議員連盟「公共事業チェック議員の会」の会長として、何度も日の出町へ入り、市民の応援を続けた。後には、この処分場をモデルにした小説「ごみを喰う男」(徳間書店2007年)を発表。
 今回の公演は、「たまあじさいの会」20周年記念のイベントのひとつとして実現した。


共著『憲法についていま私が考えること』

憲法についていま私が考えること

いまこそ、憲法と平和について話そう。

特定秘密保護法の強行採決以来、安保関連法、共謀罪の強行採決……加速する改憲問題の行く末は―? 44名の作家が考える、この国のこと、私たちの未来のこと。

  喜劇「流行性官房長官」
  ー憲法に関する特別談話ー 中村敦夫

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  日本ペンクラブ編

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【執筆者一覧】
赤川次郎/浅田次郎/あさのあつこ/梓澤和幸/阿刀田高
大城貞俊/太田治子/落合恵子/加賀乙彦/岳真也/金井奈津子
金子兜太/金平茂紀/川村湊/神田松鯉/黒田杏子
玄侑宗久/坂手洋二/佐高信/佐藤アヤ子/下重暁子/志茂田景樹
高野ムツオ/高橋千劔破/谷川俊太郎/田原総一朗/出久根達郎
ドリアン助川/中島京子/中西進/中村敦夫/中村文則/野上暁
馬場あき子/堀武昭/又吉栄喜/松本侑子/三田誠広/盛田隆二
八重洋一郎/山田健太/養老孟司/吉岡忍/若松丈太郎


【第41回】蘭越町(北海道)公演 2018年9月16日

 札幌から西南へ2時間40分のドライブ。ニセコの隣が、温泉と農業の町・蘭越(らんこし)である。
 人口は4000人くらいだが、文化活動が盛んで、札幌でやるなら、是非こちらにもという要請があった。
 町や教育委員会の後援もあり、蘭越町山村開発センターの150席は満席。
 公演後は、上演委員会会長の自宅で懇親会。各々が持ち寄った手造りのおかず。東京ではまずお目にかかれないような山菜、野菜。小粒のトマトなども5色もあって、味の濃いこと。
 とうもろこしも木のこも、昔食べたままの味。こういう食物と較べると、都会人が食べているのは、「エサ」にすぎない。
 翌日は、帰途、問題の泊原発を見に行った。対岸の漁港、岩内町からしか姿が見られない。美しい海、畑、森。一つ間違えば、永久避難の対象だ。土地の人に、来年、岩内町でも公演してくれと頼まれた。


【第40回】札幌市(北海道)公演 2018年9月15日

 豪雨台風直後の大地震、大停電と北海道はパニック状態に陥り、数日前まで公演の実施が危ぶまれた。
 飛行機が飛ぶことになったので、念のため前日入り。夕方の街は灯りが暗く、交通量も人出も少なかった。客は来るのか?
 担当大臣の発言は、毎日180度変った。本人が何も理解してないのが見え見えで、福島原発事故の時の安全保安院のデタラメ応答を思い出した。
 今回の大停電の本質は、北海道の電力の半分を担う苫東厚真火力発電所のポンコツ機械のずさん管理だという指摘もある。
 なぜか?泊原発の安全基準をクリア―し、再稼働させるのには大金が要る。
 そのために、火力発電の修理手抜きで、予算を浮かしたかったと言われている。
 ところで、このドサクサを利用して、御用学者や御用文化人たちが、サギ師のような詭弁を弄している。
 「こんなことがあるから、原発を早く再稼働させるべきだ」と。恥ずかしくないのか?
 今回の震源地が泊原発の直下だったらどうする?
 札幌公演は、中島公園内にあるこぐま座で行われ、80人席は満杯だった。
 この日、節電が緩和されたせいか、すすき野には大勢の人が溢れていた。


【第39回】松本市(長野県)公演 2018年9月2日

 松本市は、伝統的に文化水準が高く、芸術家や知識人が多く住み、市民の知的好奇心も旺盛である。
 丁度ここ数日間、毎年恒例の小澤征爾氏のオーケストラ演奏会があり、「特急あづさ」も、市内のホテルも超満員。
 でも、まつもと市民芸術館で行われた私の朗読劇にも、280席ほぼ満杯の客が押し寄せてくれた。
 市民劇団もたくさんあるとのことで、「線量計が鳴る」も、どんどん上演して欲しいと要請した。